とある私の一日

A.M7:00
私達の朝は早い。

「今日の予定は後藤水産への商談の後、18時まで事務。その後黒澤家に今後の相談についてです。社長」

「了解。あと黒澤家行くときも仕事モードでいるのは忘れないで。今日は仕事で行くんだから」

「まさか。分かっていますよ」

現役で泳いでた頃に比べたらそうでもないけどなかなかハードな日々。それでもやりがいを感じていた。

「では車を手配させていますので、どうぞ」

まだまだ慣れないことは多いけど……

そのまま車に乗り込むと社長はすぐに電話をかけ始めた。

「もしもし。西野社長に繋いでもらっても大丈夫かしら?」

西野社長。つまり中川製鉄関連の仕事。こういうところも見逃してはいけないから常に気を張る必要がある。

「明日の8時からね。分かったわ。じゃあ」

そこまで全てメモにとってから社長に声をかけられる。

「明日は8時から中川製鉄へ新商品の相談……ってもうメモはとれてるわね。それなら大丈夫よ」

新商品の相談……そこもメモしないと。

「ん……もしもし?」

移動中でも気を抜くことが出来ない。それがこの仕事なのだ。





~~~~~





AM11:00
後藤水産への商談も終わり、私達は社長室に戻ってきていた。

「社長、お昼はどうしますか?」

「作ってきたのでしょう?それを頂くわ。それと、もう大丈夫よ」

大丈夫。その言葉で仕事モードをオフにする。

「勿論!鞠莉ちゃんの為にお手製のお弁当を作ってきたであります!」

「じゃあお昼にしましょ。分かってると思うけど、その間仕事は禁止!」

事務のときは2人きり。そのときだけ私達は素に戻るのだ。

「今回は卵焼きが上手に出来たんだ!」

「じゃあ半分頂くわね!」

そう言って半分だけを食べる鞠莉ちゃん。

「残り半分は……?」

「曜が食べるのよ?」

「えぇっ!////」

「だって曜と食べないとつまらないじゃない!これは社長命令よ!」

社長命令って言いながらも食べて食べてと上目遣いで見てくる鞠莉ちゃん。昔っから鞠莉ちゃんはこういうところがズルいんだよ。

「うぅ……////えいっ!」ハムッ

「どう?どう?」

「どうって……恥ずかしい……かな……////」

「んぅ……よーうっ!」

「わっ!」

そのまま鞠莉ちゃんに突撃される。お弁当は無事だったけど私は倒されてしまった。

「うりゃうりゃうりゃ!」

「わっ!くすぐったいって!」

続けて繰り出される鞠莉ちゃんの擽り攻撃。


「あぁ……疲れたぁ……」

「そうね。それと……」

一言溜め、鞠莉ちゃんが言う。

「またやり直さない?やっぱり私は曜といたいの……」

その答えは出ている。だけど……

「ごめん。もう少し考えさせて……」

「もしかしてまだ自分を信じれてないの?」

「っ!」

「図星ね」

自分を信じれてない。まさにその通りだった。

「うん……いつ前みたいに別れようとか言うか分からないからさ……」

「……分かった。でも早めに答えを出してね。そうじゃないとマリー、怒っちゃうかも」

こんな私を信じれるようになったら自分から言おう。そう誓い、再び楽しいお弁当タイムに戻る。

「さて!今日は鞠莉ちゃんの為にこんな物を用意しました!」

自分のお弁当箱の3段目だけを取り出し、中を開ける。

「これって……」

「みかん!千歌ちゃん夫妻からお裾分けしてもらったの!」

多く買いすぎたからって少しだけ。でも千歌ちゃんの少しって一体……

「……賄賂じゃないよね?」

「んー……千歌ちゃんのことだから多分そんなことはないはず……それならもっと別の物を渡しに来ると思うし、そもそもダイヤちゃんがそうするかって言われたら……」

今日の相談の際の賄賂と思い警戒する鞠莉ちゃん。ダイヤちゃんはそれはしないと思うけど……

「まっ、そうよね。あの頭が固いダイヤのことだから本当にお裾分けでしょう」

「だよね!じゃあ、あーんしてあげる!」

「何がじゃあなのよ……でもいただくわ」

正直じゃない鞠莉ちゃん。これがツンデレ?

「美味しいわね。また買ってこようかしら?」

「じゃあまた千歌ちゃんにどこで売ってたか聞いておくね!」

「よろしく頼むわ」

「分かりました!社長!」

そんなこんなでお昼は過ぎていくのであった。



P.M5:50

今日の事務の仕事が終わり始め、私は黒澤家へ向かう準備を始める。だけど……

「よーうー。飲み物買ってきてー」

「りょーかいっ。コーヒーでいいよね?」

「だいじょーぶー」

事務の終盤は鞠莉ちゃんもお疲れモード。ちょっとだらんとしていることも少なくない。

「今日も頑張ったなぁ」

ジュースを飲みながら一人呟く。

「鞠莉ちゃんが待ってるし、早く戻ろう」

そう言って私は再び社長室に向かった。





~~~~~





P.M6:15

「お待ちしておりましたわ。鞠莉さん」

「鞠莉ちゃんやっほー!」

「こらっ、千歌」ポカッ

「あいたっ」

黒澤家に来ると毎回見る黒澤夫妻のコント。というか相変わらずである。

「とりあえずダイヤと2人きりで話をさせてもらうわね」

「では控え室にて待機させていただきますね」

「じゃあ千歌も曜ちゃんについていく!」

千歌ちゃんは自分が黒澤家の当主の妻って思ってないよね。

「あっ、曜ちゃん!」

出ました。自分のことを黒澤家の人と思ってない人Part2。ルビィちゃんと千歌ちゃんは仕事モードでもお構い無しだから……

「曜ちゃん、最近調子はどう?みかん美味しかった?鞠莉ちゃんと結婚した?」

「仕事で来ているのでお答えしかねます」

「むぅ……固いんだから……」

いや、千歌ちゃんがオンオフついてないだけだと思う……

「せーの」ボソリ

「「「We are CYaRon!」」」

「やってしまったぁ……!」

「やっと元の曜ちゃんが出た!」

「曜ちゃんはもうちょっと柔らかくてもいいんだよ?」

「もう……仕事のときはやめてって何回も言ったよね……」

「「曜ちゃんとお喋りしたいの!」」

駄目だ。いつも通りだけど言うことを聞いてくれない。

「はぁ……」

一番楽に見えて黒澤家での仕事が一番大変なのであります……(千歌ちゃんとルビィちゃんが原因)





~~~~~





P.M11:30

「Good night 曜」

「鞠莉ちゃんもおやすみ」

黒澤家での仕事が終わり、会社に一度戻って資料を整理したら帰宅。案外仕事時間は短いのだ。

「はぁ……」

帰ってきて真っ先に見るのは高校時代の写真。鞠莉ちゃんと2人でピースしている写真だった。

「自分を信じるって難しいんだなぁ……」

考え事をするほど、夜は更けていく……

          Fin

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