何とかライブまでには仲直りしたみたいです

作者:znsk0417yy
「みんな遅れてごめんっ!」
「あ、千歌ちゃんやっと来たー!ささっ、ミーティングだよ!」
今日は練習は一旦お休みでAqoursの活動について皆で意見を出し合う会。毎度毎度ただの女子会になっちゃうんだけどね、えへへ。
「って果南ちゃん?朝からハンバーガー食べてるの?」
「あ、見つかった。どうしてもマ○クが恋しくって…」
「果南さん、またソースが口元に…」
刹那、部室が凍りついた。あのお堅いダイヤさんが果南ちゃんのほっぺのソースをぺろりと舐めとってしまったのだ。ルビィちゃんは善子ちゃんに、善子ちゃんは花丸ちゃんに目を塞がれて1年生はトーテムポールに。曜ちゃんは鞠莉ちゃんと抱き合ってるけどお互い背中に回した手には握りつぶされたコップが。…あれプラスチック製品だよね…。梨子ちゃんはノートに何か書いてるんだけど…目が血走ってて怖い…。
「皆さんどうされたのです?ふざけてないで…千歌さんも早く今日のテーマを」
「…はっ!そ、そうだよね幻覚だよ…み、みんなもちゃんと席ついて!今日は…じゃん!ラブライブ運営から依頼されたスクールアイドルライブツアーのセトリ決めだよ!」
「おぉー!なんだか現実味が出てきたね」
「新曲も入れたいなら頑張らないと…」
「んー、シャイニー!!!」
「鞠莉、うるさいよ」
テーマさえ出ればみんな話に意識が戻るようだった。
「それでは私から1つ提案が…」
「はい、ダイヤさん!」
大きな身振りでダイヤさんに指を向ける。すると立ち上がって大きな声で一言。
「全公演でHAPPY PARTY TRAINを希望します!」
「ま、待ってよお姉ちゃん!数曲しかやれないんだからもっと慎重に…」
「ツアーと言うことで電車を移動手段とされる方はAqoursが一貫してそれを歌うのを面白いと感じるはずです!それに…」
「私は、反対だな」
熱くなるダイヤさんを果南ちゃんが押さえる。やっぱり果南ちゃんは頼りに…
「あれダイヤと距離遠いんだよ!!!それに曜に触られるじゃん、私ちょっと許せない…あ、同じ理由で想いよひとつになれも反対するよ」
「果南さん、想いよひとつになれは人気も高いですし梨子さんの入ったパターンはレア度も高いので是非やるべきです!私頑張って善子さんに触れないで踊れるようになるので!」
ぴしっ、と本当に聞こえた気がした。私たちと果南ちゃんたちの間に入った亀裂。
「り、梨子ちゃん…もしかしてこれ…」
「えぇ、確実に惚気よ。だからこれさえあれば書けるのよ…!」
「な、何が?同人誌?」
「なっ…違うわよ!恋の曲よ!今の2人からは恋に落ちてる音がするの!」
話しながらも梨子ちゃんの手は止まらない。五線譜に書き込まれていく音符には何故かつり目とタレ目が書かれている。…やっぱり同人誌も捨てきれてないみたいだ。
「ちょっとダイヤ!まるで私に触りたくないみたいじゃない!」
「善子ちゃん、突っかからない方が…」
「あら、だって善子さんに触れた手で果南さんに触りたくありませんもの」
「善子とダイヤが仲悪くなるのは嫌だけどダイヤが他の人に触られるのは許せない」
「こんの…っ!あんたら結婚してんの!?」
あ、善子ちゃんが言った。もうみんな心の中で3回は口にしてるよ、そんなの。
「「善子(さん)…」」
「何よ、2人して頭抱えて呆れた感じで…」
「「日本に同性婚はないよ(ですわよ)」」
「知ってるわよ!!!比喩くらい分かれ!」
「善子ちゃん、どうどう。それで、2人はなんでそんなイチャイチャしてるの?正直ちょーっとイラッとくるんだけど」
なんとあの温厚な曜ちゃんが怒りを隠しきれないほどギリギリの状態で質問を投げかける。…そっか、ダイヤさん好きって言ってたもんね。きっと果南ちゃんにも相談してたんだ…。
「イチャ…」
「イチャ…?やだなぁ曜、千歌と上手くいかないからって嫉妬?」
「違っ…だから2人は」
「やめて。曜、それだけは…」
なんだか空気が重たくなってきた…。これじゃライブじゃないよ…どうしよう、リーダーなのにこういう時どうすればいいか分からないよ…!
「る、ルビィはユニット曲もやりたいなっ!」
「!そ、そうだね!ユニット曲いいよね、私も新曲書いちゃおっかな!」
ルビィちゃんの出した案に梨子ちゃんが乗る。無理矢理空気を変えようとする2人の姿は正に勇者だった。
「よ、ヨハネも賛成!愛こそ全てよ!」
「あっ…ヨハネ、ハウス。花丸…ごめん」
「なにがずら?」
「そうですね…ユニットなら果南さんの可愛らしい衣装も見放題…魅力的ですわね」
「ダイヤもお色気たっぷりで私ドキドキしちゃうよ。でもあんまり肌出しすぎると変な虫が付きそうだなぁ…」
「なら果南さんが守ってくださいな」
「甘…今なら塩辛でもコーヒーでもかかって来いって感じ…」
「同感ね、私もピーマンくらいどうにか出来そう…もうネタを書くのも曲を書くのも嫌になってきたわ」
まるでそれが自然と言わんばかりに惚気け始めるふたり。もうここまで来ると喜劇だ。
「ねぇ、なんで止めないの?文句言ってやればいいじゃない」
「善子ちゃん、自分でなんて言ったか覚えてないでありますか?」
「え?愛こそ全て…あっ」
「そ。下手にユニットに傾いちゃったせいでそこ突っ込まれると何も言えなくなっちゃうのよ…」
「ごめんなさい…」
「いいのよ、私こそ幼なじみがあんなんでごめ…花丸?のっぽパン握りつぶしてどうしたの?」
鞠莉ちゃんの言葉に視線を向けると花丸ちゃんは震えていた。そしてぐちゃぐちゃになったそれを机に叩きつけて言い放った。
「もう嫌ずら!こんな…こんな2人とユニット曲なんて歌えないずら〜!!!!!」
「あ、待って花丸ちゃん…行っちゃった」
「今は…そっとしてあげよっか」
再び沈黙が訪れた。最早誰かが飲み物で喉を鳴らす音すら聞こえる。すると遂に勝手に惚気が始まってしまった。
「そうだダイヤ、マ○クでプリン味のシェイクあったから買ってきたんだ、飲む?」
「買ってからどれだけたっていると思っているんですか…」
「大丈夫だよ、ちゃんと冷やしておいたから」
果南ちゃんはクーラーボックスから件のそれを取り出しダイヤさんにストローを向ける。
「な、自分で飲めますわよ?」
「前みたいに冷たくて握りつぶさない?」
「…いただきます」
あろう事か飲み物を飲ませてもらうとかいう変わったあーんのシーン。振り向くとみんな塩タブレットや渋くなった紅茶、ブラックコーヒーなど騙し騙しで耐えている。
「んっ、美味しいですわねこれ。果南さんも1口どうぞ」
「いや、ダイヤが全部飲んじゃっていいよ」
「もう、いつもそうやって優しさだけで…それなら私にも考えがありますのよ」
そう言ってダイヤさんはストローを咥えて軽く吸ったあと果南ちゃんの後頭部を抑えて引き寄せた。口移しもこの2人がやるとなんだか絵になってしまうのがますますムカつく。
「…って嘘でしょ!?」
「どうしたの善子ちゃん…善子玉でも取れた…?」
「何それ!?…って違うわよ。あれ…舌入ってるというか…もうシェイクとか関係なくおっぱじめてないかしら…」
善子ちゃんの指摘で全員が向き直った。なんとシェイクそっちのけで…ダイヤさん手が太ももっていうか今スカートの中まで入れてませんかそれ!?ここで全員の考えが一致した。
こいつら、スイッチ入ったぞ。
もはやアイコンタクトを取るまでもなかった。ルビィちゃんの目隠し担当善子ちゃん、耳塞ぎ担当の鞠莉ちゃん。そして残りのみんなで花丸ちゃんの分も荷物を持ち出して曜ちゃんが逃げ出した花丸ちゃんを回収。
「…松月行こっか」
「そうね、口直ししましょ」
「マリー奢るから好きなだけやけ食いしましょ、曜。みんなも好きに食べていいからね」
「鞠莉ちゃん…なんかあれ見たら"なんでこんな人すきになったんだろう…"って冷めちゃったよ…失恋の涙も出ないや」
「よ、善子ちゃんは何時までルビィの目塞いでるのぉ?」
「なんか…ストレス発散になるからしばらくこのままで」
「マル、CYaRonに行きたい…」
各々こぼす愚痴には耳を傾けずひたすら歩く。あの二人は今頃…うっ、吐きそう…。
「もう…ライブあの二人置いていこうか」
「「「「「「賛成」」」」」」
嫌な形で、Aqoursの結束は深まったのだった。


おしまいっ!(スクロールしちゃだめだよ!)
















──
「果南さん、がっつきすぎです。…もう、何箇所痕付ければ満足するんですか?…いたた、腰が…」
「ごめん、なんかダイヤが学校でって考えたら凄い興奮しちゃった」
「私が好きな証なら、許しますけど…ねぇ果南さん。どこに向かってますの?家ではないようですが…」
「え?※一部スクールアイドルのメンツの為お伝えすることができません、だけど」
「待って、あなたあれだけやっておいて…」
「嫌なの?」
「…聞かないでください」
次の日、ダイヤさんは学校を休んだらしい。

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